活動報告

菅内閣は早急に国家展望を示せ


【オピニオン】★菅内閣は早急に国家展望を示せ 参議院議員・寺田典城


 小手先の経済対策ばかりではいつまでも日本の成長戦略は描けない。民主党の代表選挙が終わり、菅改造内閣が発足した今こそ、10年から20年先を見据えたしっかりとした国家展望を、国民に対して、明確かつ戦略的に示すべき時がきている。一つは、国際社会における日本の役割、もう一つは、財政や地域主権などの内政。これらの国家の基本的な考えについて私見を申し上げたい。


 日本は今、経済が低迷しデフレが進行、国内産業の空洞化も深刻化し、国の税収は減少の一途をたどっている。少子高齢化も進み、年金・医療・介護に要する費用は急増、国民生活にも国の財政にも改善の兆しは見えず、閉塞(へいそく)感がまん延している。このような中、日本はさらなるグローバル社会の競争の中で生きていかなければならない。


 日本の長所は、国際社会の中で唯一戦争を放棄した平和国家だということである。日本は世界で最も安全・安心な国であり、それを支える日本の技術、信義を重んじる日本人の精神は、国際社会で高い信頼を得ている。国家戦略として、このような強みを生かし、世界に対し安全・安心な技術と人材を提供することで国際貢献を果たしていくことが日本の生きる道であろう。 こうした国家戦略を支えるために不可欠なのは、地域主権型道州制の実現である。


 今の中央集権型の国家経営は、戦後の焼け野原から高度成長期を経て、国内総生産(GDP)世界第2位の国へと上り詰めるまでは有効に働いたが、一方で地方を思考停止させ、国頼みをまん延させた。中央集権型の日本丸食堂(国)は、地方の実情を理解することなく、次から次へと新しいレシピを考え出しては、多くの無駄や非効率をもたらした。国民のニーズが多様化し、世界経済がいや応なくグローバル化・フラット化していく中にあっては、国が地方の隅々までコントロールする中央集権型の全国一律制度では、もはやこの国は維持できない。


 中央政府いわゆる霞が関行政は、外交、安全保障、環境・資源・エネルギーなど基本的な機能を担い、世界の発展のために国家戦略として国際社会に打って出るべきだ。そして、内政は地方に任せる。道州制を進め、各道州・基礎自治体へ税源・財源・権限を移譲する。中央政府は地方自立のためのサポーターに徹するべきだ。失敗もあるだろうが、成功例が多く出てきて地域が活性化してくる。制度を変えない限り日本の国家再生はない。ひも付き補助金を一括交付金に改め、地方に裁量を与えれば、そこに地域間の競争も生まれ、地域ごとの特徴も出てくる。おのずと全国一律制度から一国多制度への変革も求められるようになるだろう。グローバル社会の変化は速い。一刻も早く地方が自己責任で経営できる国造りをすることが国家の再生と発展につながるだろう。


(2010年10月12日)


寺田典城(てらた・すけしろ)氏のプロフィール


1940年秋田県生まれ。早稲田大法学部卒業。民間企業社長を経て1991年から横手市長、1997年からは秋田県知事。北海道東北地方知事会長、全国知事会副会長を務めた。2009年に知事を退任。2010年7月から現職。


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